ラグビーの新世界大会「ネーションズ・チャンピオンシップ(Nations Championship)」の概要

国際統括団体「ワールドラグビー(WR)」が発表した、ラグビーの新しい世界大会「ネーションズ・チャンピオンシップ」が2022年から始まる。
まだあくまでも構想段階ではあるが、具体的な内容が決まってきたので説明する。

ネーションズ・チャンピオンシップとは

まず、このネーションズ・チャンピオンシップであるが、世界のトップ12ヵ国が毎年「世界一」を争う国際大会となっている。
創設の目的は「世界のラグビー市場の更なる発展」と「テレビ放映権料の収入増」が見込めるためだ。
現状の国際大会といえば、4年に1度開催される「ラグビーワールドカップ」があるが、この新大会はラグビーワールドカップの開催年には実施されず、またラグビーワールドカップとはフォーマットも大きく異なるため、もし実現すればラグビー界にとって革命的な大会となり得る。
しかし、既に伝統ある「シックス・ネーションズ」という国際大会を毎年開催している北半球の国々は、この大会に消極的なのだ。


その一番の理由は、新大会に「降格制度」があることにより、1882年から続く「シックス・ネーションズ」の伝統が崩れてしまう恐れがあるから。
ワールドラグビーは、シックス・ネーションズの伝統を壊さないためにも、新大会にそのまま「シックス・ネーションズ」の大会方式を組み込んでいるものの、新大会には「降格制度」があるため、仮に「スコットランド」が大会に敗れて降格した場合、その伝統が失われてしまうことになるのだ。
一方、南半球の国々には、既に「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」という国際大会があるのだが、新大会には経済的魅力があることから、構想に前向きだという。
ここで改めて、ネーションズ・チャンピオンシップの概要を説明する。

ネーションズ・チャンピオンシップの概要

ネーションズ・チャンピオンシップには、「DIVISION(カテゴリー)」が3つに分けられており、1番上のカテゴリーが「DIVISION1(トップ12ヵ国)」となる。
その下の「DIVISION2」には更に12ヵ国、「DIVISION3」には32ヵ国が参戦予定だ。
また、「DIVISION」だけでなく、「欧州(European)」と「その他(Rest of the world)」の2つのカンファレンスにも分けられている。

出典:https://www.world.rugby/

DIVISION1の「欧州カンファレンス」には、現行の「シックス・ネーションズ」の6ヵ国が、DIVISION1の「その他カンファレンス」には、現行の「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」の4ヵ国に加え、世界ランキング上位2チームの「フィジー」と「日本」が選ばれている。
ここから、各国との「総当たり戦」が始まるのだ。
ラグビーの伝統国ではない日本代表が、「ティア1」と呼ばれる世界の上位国と対戦できる機会は、今まで年に1~2回程度だったのだが、この大会が実施されることで年に11回も、世界の強豪国と戦うことが出来る。
日本が「DIVISION1」に居続けることが出来れば、日本代表の強化や人気向上に向けて、これほど恵まれた大会はないのだが、もし日本が「DIVISION2」に降格してしまった場合、格上と戦える機会がゼロになってしまうのだ。
その他カンファレンスの「DIVISION2」には、アイランダーの「トンガ」や「サモア」に加え、着実に力を付けてきている「アメリカ」もいる。
現状の力関係でいえば、DIVISION1で最下位になるのは、イタリア(欧州カンファレンス)と日本(その他カンファレンス)の2チームだろう。
そしてDIVISION2でトップになるのは、欧州カンファレンスでは「ジョージア」もしくは「ルーマニア」、その他カンファレンスでは「トンガ」「アメリカ」「サモア」あたりが有力だ。
この各カンファレンスの入れ替え戦で、日本は「確実に」勝たなければ、次のシーズンは上位国との対戦がゼロになってしまう。
また、一度降格してしまえば、DIVISION1に再度昇格するのもかなりハードルが高いといえるだろう。
日本にとって「ネーションズ・チャンピオンシップ」は大きなチャンスでありながら、一歩踏み外せばラグビー人気の熱を冷ましてしまうことにもなり兼ねないのだ。

ネーションズ・チャンピオンシップのスケジュール

ここで、ネーションズ・チャンピオンシップのスケジュールを、まだ「仮」ではあるが簡単に紹介する。
まず「欧州カンファレンス」だが、現行の「シックス・ネーションズ」は2月~3月にかけて総当たり戦で実施されているため、ここは変わらない。
分かりやすく「アイルランド」を例に挙げて説明する。

出典:https://www.world.rugby/

アイルランドは、欧州カンファレンスの5ヵ国と、2月~3月に対戦する。
そして、今までは6月に実施していた「テストマッチ」を無くし、7月に「その他カンファレンス」の3ヵ国と対戦。
残りの3ヵ国とは、従来のテストマッチ期間である「11月」に対戦するのだ。
そのため、現行のスケジュールをほとんど変えることなく、この大会を実現することが可能となる。
一方、「その他カンファレンス」だが、現行の「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」は8月~10月にかけて「ホーム&アウェイ形式」で実施されていたのだが、フィジーと日本が参戦することで、ここが「総当たり戦」に変わってしまう。
分かりやすく「ニュージーランド」を例に挙げて説明する。

出典:https://www.world.rugby/

ニュージーランドは「その他カンファレンス」の5ヵ国と、「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」が実施されていた8月~9月に、総当たりで対戦する。
そして、従来の6月のテストマッチは無くし、7月に「欧州カンファレンス」の3ヵ国と対戦。
残りの3ヵ国とは、従来のテストマッチ期間である「11月」に対戦するのだ。
そのため、こちらもほとんど現行のスケジュールを変えることなく、この大会を実現することが可能となる。
そして、各カンファレンスの「上位1チーム」が、決勝戦で「世界一」を巡って争うのだ。
これが、現在構想されている新世界大会「ネーションズ・チャンピオンシップ」の全貌である。

出典:https://www.world.rugby/

まだまだ課題は多いが、ラグビーファンにとっては非常に魅力ある大会といえるだろう。
ラグビーワールドカップのような世界最高の戦いが、毎年見られるのだから。
日本代表も、このチャンスを必ず生かして、日本ラグビーの地位を確立してほしい―――。



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